坂の上のエーリアン
深夜の死んだような町の中。
ある青年が歩いていた。
坂を登り切る手前。
一件だけ、ぼんやりと明かりが灯った怪しげな骨董品屋。
そこに置かれた人間そっくりの人形に青年は心を奪われ
高価な人形をどうにかして手に入れたいと思い始める。
そして骨董屋の主は語り出す。
「この人形は、人を惑わす。
この人形のせいで、この人形に恋したせいで、
私が知るかぎり二人の男が死んでいるのさ。」
flow flow
海沿いの街。
最終便の終わったバス停に佇む初老の男性。
気になった少女は、男に声をかける。
他愛ない会話から少女の家庭の話に、やがて話題は男性の長い旅へと移ってゆく。
「...この海は、彼女と同じ匂いがするんです。
...彼女と出逢ったのは、40年ほど前。
私はまだ、25歳の若造でした。」
彼が若かりし青年の頃の物語、
とある一人の女と人魚の姿が浮かびあがる…
昨日を忘れるほど 明日は見えなくなる
差し出すその手の先 確かな形よあれ